なんのきっかけで手に取ったのか忘れましたが、ディストピア小説「すばらしい新世界 (光文社古典新訳文庫)」を読みました。SF映画は結構好きなんですが、こういう小説はあまり読んだ記憶がありません。
哲学、科学、宗教、政治思想などをテーマにしているので普通の小説とは趣が違いますが、娯楽的な小説とは別の種類の面白さがありました。驚くべきは出版されたのが1932年で、80年以上も前に書かれた絶望的な未来の話なのに、全然古さを感じさせないところ。人間の普遍的なテーマを突いていると同時に、科学に関しても話の中に一切コンピュータが出てこないところを除けば、ある程度のリアルさを保っていて自然に読めました。ついでに言うと全体主義的体制とそれに対する隷従と自由という点では、香港と中国という体制の間でモメにモメている現在の香港に重なる部分もあったりしました。
ユートピア、ディストピア小説には他にも色々と名作と呼ばれる作品がありますが、今まで全然読んでこなかった分野だったので、有名どころから読んでみようと思いました。